財産分与とは、夫婦共有財産の清算です
離婚するにあたり、支払われる金銭を離婚給付金といいます。離婚給付金には、財産分与・慰謝料・養育費(子供がいる場合)があります。
離婚給付金の中でも、離婚する際にどの夫婦も必ず話し合わなければならない財産分与は、もっとも重要な項目だといえます。
夫婦が婚姻中に築いたお金は夫婦のもの、つまり財産分与の対象
夫だけが働いていて、妻が専業主婦の場合は財産分与はできますか?
妻が専業主婦の場合でも、財産分与を主張することができます。なぜなら、夫が働いて収入を得ることができるのは、妻の協力があるからこそであるという考えに基づいています。たとえ直接、収入を得ていない専業主婦でも、夫の得た収入は「夫婦が共同で形成した財産」と判断できます。
最近では、共同財産の50%の分与が認められるのが主流となっています。
財産分与の対象となるもの
- 預貯金(解約時に返戻金のある生命保険も含む)
- 不動産
- 有価証券/投資信託
- 会員権(ゴルフ会員権等)
- 価値の高い美術品や骨とう品
- 電化製品/家具
- 退職金
財産分与の対象とならないもの
- 婚姻前の預貯金等の、婚姻期間中に夫婦で築いていない財産
妻は結婚前に、預貯金500万円程貯蓄していたのですが、婚姻期間中は夫である私の財産で生活をしており、妻の結婚前の預貯金額は減少していません。このような場合でも、妻の結婚前の預貯金は財産分与の対象にならないのでしょうか?
財産分与の対象になる可能性があります。夫婦で生活をしていた間の生活費を、夫の収入(若しくは夫の結婚前の蓄え)でまかない、妻の結婚前の預貯金はそのまま使わず残していたということは、夫の協力があってからこそ、自分の固有財産である預貯金を使わずに維持できたと考えるからです。
財産分与の請求可能期間は2年間
離婚の財産分与を請求できるのは、離婚のときから2年以内と決められています。
民法第768条(財産分与)
1.協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2.前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りではない。
(第3項は省略しております)
また、離婚後に離婚した相手が稼いだ収入等や、遺産相続で得た相続財産などは、財産分与の対象外になりますので、注意が必要です。「婚姻期間中に夫婦で築いた財産」が財産分与の対象です。
財産分与まとめ
種類
- 清算的財産分与(婚姻期間中に夫婦で築いた財産の清算)
- 扶養的財産分与(離婚により、生活が困窮する者の生活が安定するまでの一時的な補填的なもの)
- 慰謝料的財産分与(離婚による精神的ダメージの賠償)※財産分与と慰謝料は分ける場合も有
財産の算定要因
- 夫婦の財産を築くことに対する貢献度(共働きや専業主婦など)
- 有責性があるかどうか(離婚原因など)
- 離婚後も資金の扶養が必要かどうか
- 離婚をするまでの経緯
請求可能期間
- 離婚時から2年間